遺産分割のための話し合い

遺産分割とは、被相続人がのこした財産を相続人同士で分けることを言います。
遺産分割は基本的に、遺言書に従うのが大鉄則です。
しかし、遺言書が必ずのこされているとは限りません。
遺言書がなければ、相続人同士で遺産分割について話し合いをおこないます。
これを「遺産分割協議」と言います。

遺産分割協議を行うためには、何の財産があるのか・誰が相続人になっているのかを把握しなければいけません。
また1人で勝手に決められるものではなく、相続人全員の同意が必要となります。

相続できる財産の種類は現金や不動産、家財道具も含まれます。
またゴルフ会員権や自動車、趣味で集めていた骨董品や絵画も相続財産の一種です。
ただし、被相続人が生前に背負っていた借金も”相続財産”になります。
つまり相続する財産を把握するには、被相続人が取り扱っていたお金関係全て調べ上げる必要があるという訳です。

そして相続人の把握も、忘れてはいけません。
核家族化が進んでおり、相続人はそんなにいないのではと思われるでしょう。
でも戸籍謄本を調べてみると、隠し子がいたという話は珍しくないのです。
だからこそ、相続人が誰になるのかをハッキリさせる必要があります。

相続する財産と相続人が分かれば、遺産分割協議に入ります。
先程にも述べたように遺産分割には相続人全員の同意が必要になるので、協議には相続人全員が参加しなければいけません。
何処か一ヶ所に相続人が集まり、話し合いを行うのが1番良い方法と言えるでしょう。
しかし相続人全員が近所に住んでおり、時間の融通がきくのならば問題はないでしょう。
でも相続人の中には遠くに住んでいる人や、仕事などで時間が取れない人もいらっしゃいます。
遺産分割協議は、必ず一ヶ所に集まって行う必要はありません。
集まれる人だけ集まって話し合いを進め、集まれない相続人に関しては後日電話やメールで連絡をしても構いません。
ただ後で述べますが、遺産分割の話し合いに決着がつけば遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書には、相続人全員の署名と押印が必要です。
この時も直接出向く必要はなく、郵送という形で送るようにしましょう。

では遺産分割を進めるには、どうすれば良いのでしょうか。
まず考えるべきは、相続人の事情です。
法律にも「遺産分割には相続人の事情を考えること」と、定められています。
例えば、不動産を誰が相続するかについての議論が出たとします。
相続人は、被相続人の配偶者・長男・次男とします。
しかし配偶者は病気を患っており、満足に体を動かすことができません。
また長男は海外に住んでおり、日本に帰国するのは年に1度あるかないかです。
次男は不動産の近くに住居を構えており、日本で働いています。
不動産を相続したとなると、しっかり管理しなければいけません。
管理をせずにそのまま放置してしまうと、近隣住民に大きな迷惑がかかってしまいます。
配偶者は病気で体が動けないので、管理をしたくてもできません。
長男は普段海外に住んでいるので、日本にある不動産の管理は難しくなります。
つまり不動産を相続するには、管理できる環境にいる次男が相応しいと言えます。

遺産分割協議に決着がつけば、遺産分割協議書の作成に移ります。
遺産分割協議書とは、遺産分割のための協議に納得したとハッキリと形に表した書類のことです。
誰が何の財産をどういう形で相続したのかがはっきりと記されており、一種の証明書のような役割を担っています。
ただ遺産分割協議をおこなったからとはいえ、必ず協議書も作成しなければならないという訳ではありません。
でも後で「言った言わない」でトラブルになれば、取り返しのつかないことになってしまいます。
また相続人の誰かが、勝手に財産を持ち出し処分してしまう恐れも十分に考えられます。
相続の手続の種類によっては、遺産分割協議書の提出が求められる場合もあります。
遺産分割協議書は、被相続人の財産を守るための書類です。
協議書を作成しなければ、罰則が課せられるという訳ではありません。
でも後のことを考えたら、作成した方が確実です。

ただ遺産分割協議が、必ず決着する訳ではありません。
遺産分割の話し合いに折り合いがつかなければ、調停へ持ち越されることになります。
早い話が、裁判で話し合われるということです。
裁判での話し合いと聞くと大袈裟に思われるかもしれませんが、そこまで大きいものではないので大丈夫です。
裁判官と調停委員に間に入ってもらい、遺産分割のための話し合いを進めます。
調停でも決着がつかなければ、審判になります。
審判は裁判官の元で相続人一同が集まり、手続が進められます。
遺産の分割が終わったら相続税の納付を忘れないようにしましょう。

遺産分割の問題は非常に難しく、一度こじれてしまうと取り返しがつかなくなります。
もし少しでも難しいと感じたのならば、弁護士か司法書士などの専門家に任せるのも手です。
専門家に一任すれば、こじれた遺産分割の問題も解決に向かってくれるでしょう。